アルバイトのおもしろさ
YSTさんを騙した電機メーカーは、その後一年もたず倒産したという。
当然である。
そんな会社はだれも信用しない。
勉強が工夫を生み、工夫が仕事を生むYSTさんは21歳のときから材木屋で働いているが、最初はいずれ自分の家で材木屋を始めるために、丁稚に入ったつもりだったという。
セールスを覚え、山を買い、人足の管理をし、2000メートル級の山から木を切り出す。
冬は帳簿を付け、木材の販路を広げるためにビールの通い箱を作った。
そのときの経験で、「仕事が落ち込んでも工夫すれば、代わりの仕事が生まれる」と思ったという。
電子メーカーヘの転換は偶然だったが、仕事への姿勢はどの分野でも変わらない。
その工夫をする上で大事なのは、勉強だ。
YSTさんは70年代の初期にアメリカに販路の拡大で行ったことも勉強だった。
今は、ドイツのハノーバーやミュンヘン、あるいはアメリカのアナハイムの見本市などに自社製品を展示するだけでなく、社員をどんどん海外に出張させるという。
もちろん国内での研究会・勉強会にも社員を積極的に参加させるとのことである。
社員が経験を積むことが人間としての成長につながり、そのことが会社の成長につながるのはいうまでもない。
また日常的なこととして、パソコンや家電あるいはケータイのショップなどにはいつも足を運んで、自分たちなりの売れ筋や、新技術の情報などを知るように努めている。
YSTさんは、現在、IAM電子を息子のYST孝之さんに任せ、自分は関連会社のIAM技研と、伊那セラミックの経営に専念している。
YSTさんの仕事は、偶然から始まった事業だったが、日本の高成長を支える仕事への参入だった。
その新規参入はいつの間にか、150人の雇用を生み出している。
それは地域社会の財産ともいえるだろう。
YST勉さんの果敢なチャレンジ精神がたくさんの暮らしを支えている。
もちろんこの会社で働いている人々の日々の努力もそこにはある。
今後も技術革新の微細化、高度化はますます急速に進むだろうが、何度も「大転換」を経験しているこの会社は、きっとどんな荒波も越えていくに違いないと思えるのである。
型抜きする技術力・丸伸製作所40歳を過ぎてから「マシニング」に取り組み2年でマスター私がいつも定点観測している会社がある。
毎年あるいは2年おき、といった具合に、とくに用事がなくとも訪れるのである。
それは技術や取引あるいは経営環境の変化といったことを知るためである。
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